原作・アニメ・3rdミュージカルにおける財前光の言動及びその差異の考察
※以下ファン歴の浅い人間が浅いなりに頑張って書きました。
※すべて私見なので何か間違っていても「まーしゃーないスわ」と笑い飛ばしてください。
※真面目に書きましたが真面目に読まなくて大丈夫です。
※財前光さんお誕生日おめでとうございます。
イントロダクション
新テニスの王子様 RisingBeat(ライジングビート)をきっかけに、テニプリに再燃した。
次第に財前光に注目するようになった。
ちょうどテニミュ3rdシーズンの青学VS四天宝寺が間近に迫っていた。
そうして幾度も劇場へ足を運ぶうちに、ある疑問が湧いたのである。
「テニミュ3rdの財前、何かが違うぞ」
この違和感は、“(原作との)解釈違い”――すなわち不快感に起因しているわけではない。
しかし、原作の財前と完全にイコールな存在かと問われれば、自信を持って頷けるわけでもない。
原作の財前も、テニミュ3rdの財前も、どちらも物凄く魅力的だ。
感じる差異の正体は一体何なのだろう。
そもそも私は原作の財前の魅力さえ明言できていないのではないか?
数々の疑問を払拭すべく、財前光の魅力について自分なりの分析を試みることにした。
参考資料
特に注釈がない限りは以下のとおり。
・集英社JUMPコミックス テニスの王子様(デジタル版)
Genius248「全国への幕開け」(29巻収録)
Genius306「2人の王子様」(35巻収録)~Genius340「テニスの王子達へ」(38巻収録)
⇒以降「原作」と表記。原作の財前を「原作前」と呼称する。
・テニスの王子様 OVA 全国大会篇 Semifinal Blu-ray BOX
⇒以降「アニメ」と表記。アニメに登場する財前を「アニ前」と呼称する。
・ミュージカルテニスの王子様 3rd season 青学VS四天宝寺 Blu-ray Disc1
⇒以降「3rdミュ」と表記。3rdミュに登場する財前を「サー前」と呼称する。
※3rdに絞っている理由は、私が生で観劇したテニミュが3rdのみであるため。
各メディアの財前の比較
各メディアの財前のセリフを書き出した表である。
この表からはおおまかに以下を読み取ることができる。
・サー前は他の財前よりも2倍喋っている
・増加分のほとんどのセリフは原作では四天他部員のものである
・アニ前には固有のセリフがいくつかある
次の項ではメディアごとに特徴を記す。
原作前の特徴
すべてのメディアの財前の元であり、原点である。
不動峰の神尾に興味を示した小春に「キモいっすわ」と毒づき、(セリフNo.2)
銀相手にまったく歯が立たない河村を「お荷物」呼ばわりしている。(セリフNo.20)
財前光=毒舌と評される所以である。
クールでドライな印象が強い財前だが、毒舌の後には必ず先輩からの“制裁”をきちんと受けている。
小春に絡まれ、白石には「言葉には気を付けろ」と窘められているのだ。
おまけに、財前は意外と笑う。D2のお笑いテニスの時に必死に笑いを堪えているのである。(セリフNo.11)
一方、本人の試合(D1)ではポーチに失敗し、試合にまったく貢献できなかった。
直前の試合(S2)の「お荷物」発言を考えると、まるで失言への“報い”のように思えてくる。
そんな財前こそが強豪・四天宝寺の次期部長なのである。
因果応報をその身を以て体感した財前には、計り知れない未来が秘められている。
アニ前の特徴
セリフの量は原作前と同等だが、発言はほぼ本人の試合(D1)に集約されている。
青学のトリッキーなオーダーの意図を見抜いてなお動じない度胸と(セリフNo.24)
試合中の今までとは打って変わったような饒舌が特徴的である。(セリフNo.28.29)
千歳の影響で実質試合を追われたにもかかわらず、自ら「才気」を賞賛する粋な面もある。(セリフNo.26)
なお、試合中のセリフはほぼアニメ特有のものであり、財前がどのような心境でポーチに出たのかがより明確になっている。
また、「お荷物」発言を白石に窘められた際に唯一ドライなリアクションをしたのがアニ前である。(セリフNo.21)
アニ前は他の財前よりもかなり余裕があると推測される。
サー前の特徴
まず特筆すべきは、セリフの多さである。
キャストの数に制限があるため、賑やかしや解説を担っていた原作の他部員のセリフはレギュラーに割り当てられている。
このため、サー前は他の財前よりも調子に乗りやすく、弱気になりやすい。
例えば、圧倒的実力差があるにもかかわらず銀に必死に食らいつく河村のスタンスへ動揺を露わにしている。(セリフNo.22)
(「お荷物」発言の直後であることを考えると、財前にとっては驚くべき光景だったと推測される)
直後の本人の試合(D1)も、他の財前と比較するとかなり悲壮感がある。
冷静かつ非情な白石を食って掛かるように睨み付け(セリフNo.25)
ポーチでのセリフはもはや悲痛な叫びであり(セリフNo.28)
千歳への負け惜しみは語尾が消え、弱々しい。(セリフNo.30)
また、テニミュの魅力の一つである「日替わり」は、財前の発言を契機とするものが多い。(セリフNo.10,12,15)
3rdミュの四天宝寺の日替わりは大半がコント形式であるが、財前の参加率は比較的高い。
つまり、先輩らのコントにダメ出しするだけでなく、率先してお笑い要員を引き受けているのである。
サー前は他の財前よりも感情表現が豊かで、年相応であることがわかる。
財前はいつD1のオーダー変更を知ったのか
財前の試合(D1)において忘れてはならないのが、「D1の元のオーダーは謙也と財前だった」という点だ。
青学のオーダーに手塚がいることが発覚し、急遽(唯一手塚に対抗し得る)千歳と財前に変更したのである。
オーダーが謙也から千歳に変更された経緯は、各メディアで異なっている。
この差異は各メディアの財前の試合中の言動にも影響を及ぼしているため、以下記しておく。
原作
オーダー掲示板表示の際のレギュラー陣の描写がないため、不明。
【参考】
38巻11p オサム「このオーダーだけは 予想外やったな ったく誰の発案やら♪」
38巻12p 他部員「えっ 千歳やてぇ!? ケンヤ君やなかったんかいな?」
⇒オサムは手塚のD1出場を予想していないが、どこか楽しんでいる節がある。
他部員は知らなかったことがわかる。
アニメ
試合開始直前には財前を含めてレギュラー全員が知っていた。
【参考】
0:25:47 レギュラー、手塚のオーダー聞いても千歳以外は動揺せず
0:28:06 金太郎「さすがやなぁ オサムちゃん」
オサム「オーダー提出直前に変えとって正解や」
⇒オサムが手塚のD1出場を予想している。
金太郎が賞賛していることから、レギュラーもオーダー変更を知っていたと推測される。
3rdミュ
レギュラー全員がオーダー変更を知らない上に、謙也が変更の発端。
【参考】
02:02:56 謙也「手塚やて!?」
02:03:03 オサム「あーあ このオーダーだけは 予想外やったな」
02:03:05 謙也、自分のラケットを見つめて思案→オサムに渡して走り去る(財前は謙也を見ていない)
02:03:30 財前、四天宝寺のオーダー放送を聞いて動揺、以降オサム・千歳・謙也を順に見つめている
02:03:31 ユウジ「千歳やて!?」
02:03:33 小春「ケンヤ君やなかったんかいな?」
⇒ユウジと小春が疑問を呈していることから、レギュラー陣が変更を知らなかったことがわかる。
オーダー変更は謙也がオサムにラケットを返したことがきっかけと推測される。
以上から、何故試合中のアニ前には余裕があり、サー前にはないのかを更に読み取ることができる。
財前光の魅力とは
改めて見ると、財前の作中における役割は主に二つある。
・S2における河村の善性並びに勝利の意義の強調
・D1における手塚のカリスマ性の強調
河村本人は「お荷物」発言を容認しており、その上で銀に勝利したため、
ただの勝利(≒「お荷物」発言がなかった)よりも一層輝かしく読者に映っている。
(「悪い奴が更に悪い奴を倒す」というテニプリのスタンスにも合致している)
また、D1の財前のポーチの失敗は、乾の「もはやこの勝負俺たち(≒無我の扉を開いていない人間)の入れる領域じゃない」発言を招いている。
このため、千歳と手塚の異様性が浮き彫りになり、最終的な勝者である手塚のカリスマ性を更に強調しているのである。
作中で輝くべきキャラを一層引き立てたという点が、財前光の最大の魅力である。
また、財前は先輩から程良く躾けられ、適切な距離間を保っている。
ライバル校キャラとしての“業”と時折垣間見える憎めなさ。
そのギャップこそに私は惹きつけられているのだろう。